変異型ウイルスへの対処法

2021年6月10日現在、VOC(注意が必要な変異型ウイルス、こちらを参照)は5系統が知られています。まだ全てについてはっきりした科学的データは揃っていませんが、その一部は感染力が強く同じ感染防止対策を行っていても感染してしまう事例が報告されています(注1)。つまり、従来株では有効だった対策が、効かなくなくなっている場合があるということです。

しかし、過度に心配する必要はありません。基本的な感染対策の壁を超えてしまうほど、感染力が極度に高まったウイルスはまだ知られていないからです。

ここでいう基本的な感染対策とは、①人と人との距離を十分(できれば2メートル以上)保つ、②人と話をするときは必ずマスクを正しく着用する、③同じ室内で複数人で過ごすときは十分な換気を心がけて、かつその時間をできるだけ短くする、です。いわゆる三密を避ける、という概念ですね。

ただ、アルファ株(従来イギリス株と言われていたもの)は従来株より感染性が高く、「三密を防ぐ」という概念では防げない事例も報告されています。現在はアルファ株が主流となっているので、「密はゼロにするよう努力する」という概念で対処することが重要です。3つの基本対策のすべてを満たすように努力すること、これによって感染は防げるということです。

【2021年8月1日加筆】ここで強調しておきたいのは、ワクチン接種との関係です。ワクチン接種を完了(2回接種後2週間を経過した場合)すると、自分は感染しないと思い込んでいる人が一部にいます。これは間違いです。確かにワクチン接種完了により、重症化や入院リスクなどが抑えられることは明らかです。しかしワクチン接種しても感染し、未接種の人と同じ程度のウイルスを排出していることが(特にデルタ株の場合)明らかになりつつあります。別のページにも記載した通り、ワクチン接種を2回済ませても、ましてや1回しか済んでいない場合は言うまでもなく、マスクの着用など感染対策を怠ってはいけません

なお、手指消毒も重要です。外出時、公共の場所で他の人も触れるところに触れた時は、手を洗ったり消毒したりしましょう。不用意に手で顔を触れることも厳禁です。

 

注1:距離を十分に保ってアクリル板ごしに会話をしてたのに感染した(ただしマスクはしていなかった)ケース、屋外でマスクをしながらマスクしていたのに感染してしまったケース、などが報告されています。前者は会話中にマスクをしていれば防げたと思われますし、後者は距離が十分保たれていれば防げた(マスクの着用状態にも問題があった?)と考えられています。