「オミクロン株」について(4)(2022年4月11日)

オミクロン株に関する最新情報をアップデートします。

まずこれまでのオミクロン株による感染状況をまとめます。2022年1月から全国でオミクロン株による「第6波」が広がり、ピーク時には国内1日あたり10万人を超える新規感染者を記録しました。これはオミクロン株(「BA.1」亜型)の感染力が過去に出現したどの変異株よりも強かったことによるものです。その後「まん延防止等重点措置」の発令などが効果を発揮し、今では大阪府内の新規感染者数は平均3千人程度まで減少しました。しかし、3月下旬から再び増加する傾向を示していて、「第7波」の到来を懸念する声が聞かれます。

感染急拡大期における患者数の推移から、オミクロン株の潜伏期について正確な情報が明らかになってきました。デルタ株以前では、その潜伏期が5日前後であると考えられてきました。しかしオミクロン株では3日前後で発症するケースが多く(1-5日)、感染7日後までに95%が発症するようです(国立感染症研究所の解析による)。これは、ウイルスの細胞との結合力が強いことや、細胞内での増殖能が高いことが理由と考えられています。

次に症状の違いについてまとめます。従来のコロナウイルス感染症では以下の症状が特徴であると言われてきました:

  • 咳、息切れ、息苦しさ
  • 発熱、寒気
  • 筋肉痛、関節痛
  • 嘔吐、下痢
  • 嗅覚・味覚の異常

しかしオミクロン株の場合、症状の傾向が異なります

  • 頭痛、のどの痛み、鼻水といった症状が半数程度に見られる
  • 続いて筋肉痛、関節痛、咳、だるさ、発熱が頻発する
  • 1/10程度で味覚・嗅覚障害、吐気・嘔吐、下痢などが見られる

従来、味覚・嗅覚障害が新型コロナウイルス感染症の特徴的な症状と言われてきましたが、オミクロン株の場合はその頻度は10人に1人程度です。むしろ喉の強い痛みが特徴となっているようです。

無症候性感染者についてはどうでしょうか。オミクロン株は呼吸器の上部、すなわち鼻腔や喉などでよく増殖し、肺など下部呼吸器での増殖が従来株に比べ弱いようです。おそらくそのために従来株より重症化しにくく、また、ほとんど症状が出ない「無症候性感染者」が多く見られる傾向にあります。しかし、ワクチン接種の有無、特に3回目の接種の有無が発症を決める重要因子となっており、単純に比較するのは難しい状況です。

 

まとめ

1. オミクロン株は潜伏期が明らかに短くなっています。

2. 発熱、倦怠感、咳や鼻水の他、喉の痛みがある場合は注意が必要です。

3. 感染していても症状の出ない場合はあります。自分は健康だから感染していない、と過信するのはやめましょう。

4. ワクチン3回接種が終わっていれば、重症化のリスクは下がります。

5. ワクチン3回接種により感染リスクも下がりますが、その効果は限定的で、「ワクチンを3回打てば感染しない」と考えるのは危険です。

 

2022年4月現在、オミクロン株の性質がやや変化した「オミクロン亜型」が多数出現しています。中でも「BA.2」と呼ばれる亜型は、オミクロン従来株(BA.1系統)に比べて感染力がさらに増していると報告されています(1.2〜1.3倍)(厚生労働省アドバイザリーボード資料より)。今後、BA.2株が広がることで感染再拡大が懸念されていて、今後も基本的な感染対策が求められています。