感染対策:Q8

Q8:ワクチンを打ったらマスクをしなくても良いですか?

A8:

原則的にはするべきです。しなくても良い理由はありません。

ただしワクチン接種とPCR検査や抗原検査を効果的に組み合わせれば、「このような条件下では、マスクをしなくても良い」という場面がでてくると思われます。時期を待ちながら、大学や政府からの指示に基づいて、正しく判断してください。理由を以下で説明します。

ワクチン接種が終了したら、COVID-19に対する免疫がつくので、感染対策を多少軽減しても大丈夫だと思うかもしれません。しかしことマスクに関して言えば、マスクの着用は原則義務と考えてください。

そもそもマスクの着用は、自分を守ることよりも他人を守ることに重点が置かれていることを思い出してください。そして同時にワクチンを接種してもウイルスに100%感染しないわけではないことも知ってください

ワクチン接種によりウイルスに感染しても【発症】が抑えられることはわかっています。しかし感染そのものまで、完全に抑えるわけではありません。と言うことは、ワクチンを接種した人は、知らずに感染して、知らずに人に感染させてしまうことが、あり得るのです。他の人もワクチン接種を終えていれば大きな問題にはなりませんが、集団内の接種率が高くない状況では、マスクの着用率が下がることで感染が再拡大してしまいます

以下にその具体例をあげます。

一時は世界最大の感染者数を報告していたアメリカは、ワクチン接種を急速に進め、感染の封じ込めに成功したように見えました。そこで接種率が50%を超えた2021年5月、疾病制御対策センター(CDC)がさらに接種率を上げることを目的に、「2回接種を終えて2週間が経過した人は、マスクをせずにパンデミック以前と同様の社会活動をすることができる」と発表しました。ところがこの発表がきっかけとなり、ワクチン接種率が高くない一部の州で急激に感染が拡大し、そこでは州法によりマスクの義務化を再発令せざるを得ない状況に陥っています。

世界保健機関(WHO)は5月14日、「マスクの義務化を緩和するかどうかは、その地域の感染拡大状況とワクチン接種率の両方を勘案して決めるべきだ」と警鐘を鳴らしています。これは上記のように、一部の国がワクチン接種率を上げるためのインセンティブとしてマスク着用義務解除を利用することを見かねて出したコメントです。

イギリスはワクチン接種率が世界に先駆けて高い国として知られていますが、デルタ株の拡大によって感染者が急増しており、マスクの義務化を解除できないでいます。ドイツでも最近、ワクチン接種がデルタ株の感染拡大を抑えることができていないと、政府が国民に対する行動自粛を改めて強化しました。

日本でも厚生労働省は「ワクチン接種をした人から他人への感染が、どの程度予防できるかはまだわかっていない、ワクチン接種をしても引き続き、マスクの着用、手洗い、手指消毒は徹底することをお願いする」としています(「新型コロナワクチンQ&A」のサイト)。

ワクチン接種をしても、ましてや1回しかしていなければ、マスクをはずしても良いという理由はありません。むしろその一部の人は、無症候性感染者となって感染拡大に寄与する可能性すらあります。少なくとも今の日本は、まだマスクを外せるタイミングにはありません。