ワクチン接種後の発熱への対応

【初めに】

新型コロナウイルスに対するワクチンを接種した後、一定の割合で軽微な副反応が報告されています(詳しくはこちら)。その中に、比較的頻度の高い副反応として発熱があります。なおここでいう「発熱」とは、37.5℃以上のことだと理解してください。

発熱すると、身体に負荷がかかります。また生活にも大きな支障が生じるため、事前に適切に準備しておくことが望まれます。そこで、以下に発熱時の対応についてまとめておきます。ワクチン接種を考えている人は、しっかりと正確な知識を持って対応してください。

なお、発熱など副反応の頻度は、接種するワクチンの種類により大きく異なります。特にmRNAワクチンと組み換えタンパク質ワクチンでは違いは顕著です。その点も十分理解して下さい。

【発熱の頻度】

発熱の頻度は、1回目より2回目の後に顕著に見られます。また、3回目接種を受ける場合、2回目より強い反応が出る場合もあるようです。年齢別に見ると、20〜30歳代が最も高く、60歳代以上では頻度が半分以下となります(下表参照)。さらに、男性より女性で発熱の頻度が5〜10ポイント高い(2回目後)こともわかってきています。なお、モデルナ社製ワクチンについては、国内接種1回目後のデータしかありません。参考データとして臨床試験(治験)データが公開されていますので、こちらで確認してください。

mRNAワクチンによる発熱の頻度(接種後8日)(厚生労働省のホームページ*より)

ファイザー ファイザー モデルナ モデルナ
1回目 2回目 1回目 2回目
20歳代 約7% 約50% 約12% 約80%
30歳代 約7% 約48% 約7% 約79%
40歳代 約5% 約41% 約6% 約77%
50歳代 約2% 約35% 約5%** 約68%**
60歳代 約2% 約21%
70歳代 約0% 約10%
全体 約5% 約42% 約6.3% 約78%

*「新型コロナワクチンの接種後の健康状況調査」

** 50歳代以上

武田社製ワクチン(ノババックス)による発熱の頻度(接種後7日)(厚生労働省資料***より)

報告割合 1回目接種後 2回目接種後 3回目接種後
50%以上   圧痛 65.2% 圧痛 81.4%

疼痛 54.6%

疲労 63.3%

筋肉痛 51.0%

10ー50% 圧痛 48.2%

疼痛 26.9%

疲労 23.1%

頭痛 21.6%

筋肉痛 20.0%

倦怠感 12.2%

 

疼痛 45.6%

疲労 35.6%

頭痛 29.6%

筋肉痛 30.8%

倦怠感 26.4%

関節痛 14.8%

 

疼痛 46.9%

 

頭痛 45.9%

 

倦怠感 46.9%

関節痛 28.6%

発熱 17.3%

悪心・嘔吐 13.3%

腫脹・硬結 11.3%

紅斑 10.3%

1ー10% 関節痛 6.7%

悪心・嘔吐 5.9%

発熱 2.4%

腫脹・硬結 5.6%

悪心・嘔吐 7.2%

発熱 4.4%

紅斑 4.8%

*「ヌバキソビット(武田社)を接種した方へ」パンフレットより

 

【接種時に考えておくべきこと】

mRNAワクチンの副反応としての発熱は、90%程度が接種の翌日と翌々日に発現しています。したがって、2回目接種の後、最大2日間は 発熱で学校や仕事を休まなくてはならなくなる可能性を覚悟してください。2回目の接種後は、頭痛や倦怠感も同様の頻度で、だいたい同じ時期に出るようなので、該当期間に重要な用事を入れないことが望まれます。また、以下で詳しく書きますが、発熱などの副反応に備えて、薬を準備しておくことが懸命でしょう(下記参照)。また、症状が重くなる場合もあることから、事前に医療機関を調べておくと安心です(下記参照)。

【発熱時の対応】

特に基礎疾患などがない健康な人では、発熱した場合には(必要時応じて)解熱鎮痛薬を飲んで様子を見ることが認められています。もちろん、必ず飲まなければならないわけではありません。あくまでも必要に応じてです。これは市販の薬で大丈夫です。どのような薬が使用可能かについては、こちらのサイトを参考にしてください。

もし、発熱が2日以上続く、あるいは高い熱が出たなど症状が重い場合は、医療機関を受診するようにしてください。また、もともと基礎疾患等がある場合は、念のため医療機関の受診を考えてください。

また、ワクチンによる発熱か、ワクチン以外の原因による発熱かも重要な判断事項です。発熱以外に、喉の痛み、咳、味覚・嗅覚の消失、息切れなどの症状がある場合は、できるだけ早く医療機関に連絡し、対応の指示を受けてください。

なお、症状が出る前に予防的に解熱鎮痛薬を飲むことは避けましょう

【市販薬】

ワクチンを受けた後の発熱や痛みに対し、市販の解熱鎮痛薬で対応しようする場合、特に以下の場合に注意が必要です。以下のような場合は、まず主治医や薬剤師に相談してください。

  • 他の薬を内服している場合や、妊娠中、授乳中、ご高齢、胃・十二指腸潰瘍や腎機能低下など病気治療中の場合(飲める薬が限られていることがあります。)
  • 薬などによりアレルギー症状やぜんそくを起こしたことがある場合
  • 激しい痛みや高熱など、症状が重い場合や、症状が長く続いている場合
  • ワクチン接種後としては典型的でない症状がみられる場合(上述)

上記に該当しない場合、使用できる市販の解熱鎮痛薬の種類には、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェンやロキソプロフェン)などがあります。特にアセトアミノフェンは、低年齢の方や妊娠中・授乳中の方でも使用できます。しかし、製品毎に対象年齢などが異なりますので、対象をご認のうえで使用してください。具体的な商品名などについては、こちらのサイトを参考にしてください。