「ミュー株」について

新型コロナウイルスの変異株で、最近、「ミュー株」という変異株がしばしばマスコミ等で聞かれます。このミュー株とはどういう株で、何か心配すべき特別な性状を持っているのでしょうか?

結論として、現時点(2021年10月1日)では、注意する必要はあるものの、これによって特に心配すべき状況が起こっているとは考えられていません。

ミュー株が報道で取り上げられる理由は3点です。

・南米の一部地域で増加傾向にあって、これまでの株より感染力が強い可能性が疑われる。

・従来ウイルスに比べてミュー株は、ワクチンによる抗体が効きにくいことが報告された。

・日本国内に入国しようとした人から分離されたウイルスの2例が、ミュー株であったことが判明した。

 

しかしこれには補足説明が必要です。まず、アメリカではミュー株の感染者が2,000人程度確認されていますが、それがデルタ株を上回って感染を広げていることは確認されていません。また、確かにワクチンによる抗体がミュー株には効きにくいようですが、十分な免疫力(抗体を含む)があればミュー株に感染しても重症化を防ぐことができるとが予想されています。つまり、いま直ちにミュー株に過度に心配する状況にはないということです。

もちろん、今後ミュー株が国内で感染を広げ、現在の感染の主流であるデルタ株(2021年10月1日でほぼ100%)に置き換わるような状況が起こると、ワクチン接種を完了していても重症化する人の数が増え、医療逼迫が起こる可能性はあります(あくまでも可能性)。

そのため国や地方の行政機関がウイルス変異株を常にモニタリングし、ミュー株を含む変異株の広がり状況を監視しています。今は過度に心配せず、状況を見極めることが大事です。