ワクチンの種類と特徴について

まず初めに

2021年6月14日現在、日本で使用が認められているCOVID-19のワクチンは3種類です。そのそれぞれの特徴についての概要は、Q&Aの「ワクチンQ2」で比較説明しています。まずはこちらで概要について理解してください。

その上で、特に2つのワクチン、ファイザー社製とモデルナ社製のワクチンについては最新情報を基に以下で詳しく説明をします。その理由は、どちらのワクチンを接種するか、個人の希望によって選べるからです。

 

ワクチンが選べるとはどういうことか?

現在国内でワクチン接種が進められています。自治体は医療機関を中心にファイザー社製のワクチンを使用して接種を進めています。一方、国(自衛隊)は大規模ワクチン接種会場を東京と大阪に設置してワクチン接種を進めていて、ここで使用しているのはモデルナ社製のワクチンです。加えて、事業所が主体となってワクチン接種を行うことも認められることになりました。これは「職域接種」と言われ、大阪府立大学と大阪市立大学でも6月28日から大学内で接種を進めました(大阪府立大学の職域接種は8月18日をもって終了しました。職域接種で受けられるのは、モデルナ社製のワクチンです。

ワクチン接種の主体者(場所) ワクチンの種類 接種条件(2021年6月13日現在)
自治体が主体となるワクチン接種

・市町村の医療機関

ファイザー社製ワクチン 自治体が発給する「ワクチン接種券」が必要です。
自治体が主体となるワクチン接種

集団接種会場

自治体により異なる 自治体が発給する「ワクチン接種券」が必要です。
(自衛隊)が主体となるワクチン接種 モデルナ社製ワクチン 自治体が発給する「ワクチン接種券」が必要です。
職域接種(大学内接種) モデルナ社製ワクチン 接種券は必要ありません。

さて、皆さんがワクチンを接種できる場合には、以下の選択肢が用意されることになります。

  1. 住民票のある自治体から「接種券(葉書か封書)」が郵送され、ここへ記載された情報を基に、電話かウェブで、自治体の用意した医療機関や接種会場、あるいは国の大規模接種会場に予約して接種を受ける。
  2. 家族が勤める事業所が行う職域接種会場で接種を受ける。これは、事業所によっては従業員の家族まで接種対象とする場合があるからです。あなたが対象者かどうかは家族に確認してください。また「接種券」が必要かどうかも家族に確認してください。

もしあなたが「接種券」を入手した場合、接種を受ける場所によりファイザー社製かモデルナ社製のどちらかを選べることになります。持っていなくても、国や自治体の大規模接種会場では近い将来、接種券なしでワクチン接種が受けられるようになる可能性が言及されています。そうなったら、接種券なしでも同様にワクチンの種類を選べるようになる可能性もあります。

 

2つのワクチンの特徴の違い

ワクチンを選べるのであれば、それぞれの効果や副反応を比較検討して選ぶことになると思います。選択の参考となる情報を下記にまとめます。

【承認時のデータから】

2つのワクチンの薬事承認申請時に提出されたデータから、それらの効果と副反応について比較してみましょう。

製造者 ファイザー社 モデルナ社
種類 mRNAワクチン mRNAワクチン
有効性 約95% 約94%
接種回数(間隔) 2回(3週間) 2回(4週間)
主な副反応(軽微なもの) 接種部位の痛み、頭痛、発熱、倦怠感 接種部位の痛み、頭痛、発熱、倦怠感
懸念される副反応(頻度) アナフィラキシー

(100万回あたり28例)

アナフィラキシー

(100万回あたり2.5例)

これらのデータは主に外国で行った臨床試験の結果に基づいています。かなり厳密にコントロールされた「治験」のデータであるため、実際に一般の日本人に接種したときに見られる効果や副反応とは幾分異なる可能性があります。では、現在までに日本で行われた接種実績から、副反応の頻度と症状について比較するとどうなるでしょうか。まずは承認前の治験の結果から見てみましょう。

【2つのワクチンの主な副反応の発生頻度】(国内治験の結果から、日本経済新聞まとめ)

接種1回目 接種1回目 接種2回目 接種2回目
ファイザー モデルナ ファイザー モデルナ
注射部位の痛み 86.6% 82.7 79.3 85.0
疲労 40.3 18.7 60.3 63.3
頭痛 32.8 13.3 44.0 47.6
筋肉痛 14.3 37.3 16.4 49.7
悪寒 25.2 5.3 45.7 50.3
発熱 14.3 2.0 32.8 40.1

2つのワクチンそれぞれ、初回接種後と2回目接種後で反応が異なります。この数字を見る限り、どちらかがより強い副反応を起こしているようには見えません。あえて言えば、モデルナでは接種部位の筋肉痛が出やすいこと、また1回目の接種後の反応は、ファイザーの方が高い傾向があるように感じられます。

では、承認後から現在までに主に医療従事者等、65歳以上の国民へ接種した時の、重篤な副反応について確認しましょう。

 

【国内接種による副反応の頻度】(NHK「新型コロナ特設サイト」から)

報告日(厚生労働省) ファイザー社製 モデルナ社製
2021/7/21NEW! 接種回数約5850万回

副反応疑い0.03%

重篤報告0.00%

アナフィラキシー:約3万3千回に1件

心筋炎・心膜炎:約180万回に1件

接種回数約182万回

副反応疑い0.02%

重篤報告0.00%

アナフィラキシー:約4万回に1件

心筋炎・心膜炎:約182万回に1件

2021/6/23 接種回数約2300万回

副反応疑い0.06%

重篤報告0.01%

アナフィラキシー:約16万回に1件

心筋炎・心膜炎:約180万回に1件

接種回数約44万回

副反応疑い0.02%

重篤報告0.00%

アナフィラキシー:約11万回に1件

心筋炎・心膜炎:報告なし

2021/6/9 アナフィラキシー事例:7万7300回に1件 副反応:5300回の接種につき1件(接種した日に発疹やどうき、めまい)(アナフィラキシーの報告なし)
2021/4/30 アナフィラキシー事例:2万6800回に1件(ほぼ全員が軽快) 接種データなし
2021/4/9 アナフィラキシー事例:1万3882回に1件(ほぼ全員が軽快) 接種実績なし
2021/3/26 アナフィラキシー事例:1万2316回に1件 接種実績なし

2つのワクチンに共通する重要な副反応はアナフィラキシーであると考えられます。モデルナ社製については、まだアナフィラキシーの国内報告はなく、動悸やめまいという症状のみが確認されています。ただこれは、これまでの接種回数がまだ少ないことも原因と考えられます。したがって、どちらがアナフィラキシーを起こしやすいなどについて結論づけることは難しいと考えます。現時点では、2種共に同程度の(しかも稀な)アナフィラキシー反応が起こりえるという認識で問題ないと考えます。結論として、これまでのところ特に心配するほどの重要な副反応は出ていないと言えます。

 

【共通した副反応】

2つのワクチン に共通する軽微な副反応として、接種部位の痛み、頭痛、発熱、倦怠感などが報告されています。反応の強さは1回目の接種後と2回目の接種で異なり、2回目の接種後の方が強い反応が起こっているようです。特にモデルナ社製で「モデルナ・アーム」と呼ばれる皮膚の発赤が見られることが新聞等で報道されています。ファイザー社製でも起こらないわけではなく、したがって「ワクチン・アーム」「コビット・アーム」という言い方もされています。接種を受けた人の印象では、モデルナ社製の方がやや高い頻度で、強い症状が出るようです。いずれにせよ反応はほとんどの場合数日で消えることから、大きく心配する必要はないと思われます。関連する情報は日本経済新聞の記事や、以下の「関連情報」を参照してください。

 

【心筋症・心膜症について】(2021年6月24日追記)

最近COVID-19ワクチン接種者で、心筋症が発生していることが話題になっていました。アメリカ疾病対策制御センター(CDC)とアメリカ厚生省は6月23日、心筋症や、心臓を包む膜に炎症が起こる心膜症が、ワクチン接種と関連して発生している可能性がある、と発表しました。ただしその頻度はまれで、症状も比較的軽く、ワクチンによる恩恵はリスクを上回ると結論づけています。

その頻度はアメリカでは100万回で12.6例で、アナフィラキシーと同程度のようです。ファイザー社製でもモデルナ社製でも起こっています。主に若い男性で起こる傾向があると言いますが、多くは入院加療で治癒しています。

日本国内でもわずかに確認されており、その頻度は156万人に1人なので、アナフィラキシーの1/20〜1/10程度の頻度です。発症者は11名で男性が8名、9名が2回目の接種後に発症しています。72歳の女性1名がなくなっていますが、死亡とワクチン接種との関係は評価不能となっています。これはファイザー社製ワクチンによるもので、モデルナ社製ワクチンでは国内報告がありません。

 

NEW!【中・長期にわたる服反応について】(2021年9月12日追記)

ワクチンは基本的に感染症の予防を目的としており、そして感染症のほとんどが数ヶ月以内に発症し治癒するような急性疾患です。したがって多くのワクチンは1年程度の短期間の影響を調べればその効果の判定が可能です。しかし、特に妊娠した女性に使用するワクチンや、遺伝子を外から導入するようなワクチンの場合、数年にわたる長期の評価期間が必要となります。現在使用されているワクチンの多くは10年程度の評価を経て承認されていたり、使用が開始されてから10年以上経過しているものが多いのが実情です。

しかし、感染症の影響が甚大で、その制御が社会的に急務であるような場合、得られる効果がリスクを上回ると判断されることで緊急使用が承認されることがあります。新型コロナワクチンの使用承認は、この緊急的な形で承認されたものです(2021年9月12日現在)。

そこで、長期間の影響や、胎児や生殖機能への影響に対して懸念する見方もがあることは事実です。しかし、全く何のデータがない中で接種が進められているわけではなく、動物実験などによりある程度の評価を得ていることは知ってください(例えばマウスは寿命が2年で、生涯にわたる影響評価が行われています)。また、ファイザー社製及びモデルナ社製のワクチンはmRNAワクチンと言われ、これは過去に様々な感染症への利用が検討されてきた経緯から、既に数年間にわたる基礎データが蓄積しています。決して、新型コロナ用に初めて使用が検討されたもので、ほとんど実績がないワクチンというわけではないということは理解してください。

と言っても、実際に人体にこのmRNAワクチンを接種するのは初めての経験なので、中長期の影響評価についてはこれから注意深く検討する必要があります。評価が終わっていないものを接種したくないという意見には、尊重されるべきものがあると考えます。いずれにせよ、これまで何度も書いているように、ワクチン接種によるベネフィットと、それがもたらすリスクとを秤にかけて、自分が納得できる場合にのみ接種することが必要です。

 

【実際にワクチン接種を受けた人の効果】

世界中でワクチン接種が進み最大で6ヶ月が経ちました。ここにきて様々な国で、国民にワクチンを打った結果、どの程度の感染防御効果があったか、科学的な報告が出始めています。まず、イスラエルは世界でトップを切ってワクチン接種を進めました。この国から得られたデータでは、ファイザー社製ワクチンに95%を超える発症予防、重症化予防効果が得られたことが報告されています。またアメリカの一部地域の分析結果からも、ファイザー社製ワクチンの95%以上の効果が報告されています。総合的に考えると、治験データと実際使用の結果とには大きな違いがないと結論づけて良さそうで、その点から、2つのワクチンはどちらも高い効果が期待できると結論づけられます。

最新の研究成果により、ワクチン接種により、感染そのものを抑える効果が確認されました。さらに、他の人へ感染させるリスクも減少させる結果が報告されています。これらの科学的な証拠は非常に重要です。つまり、ワクチンを接種していなけれけば、知らないうちに自分が感染してしまい、その結果、大切な家族や知人に感染させてしまうことがあるわけですが、ワクチン接種をしておけば、そのリスクが劇的に下がるということが科学的に証明されたということです。身の回りに感染させたくない人がいるなら、ワクチンを打つことを是非検討してみてください。

 

関連情報

「こびナビ」というサイトで、ファイザー社製とモデルナ社製のワクチンの効果について千葉大学の医師が比較説明している動画を配信しています。特に新しい情報はありませんが、わかりやすいので興味のある方は試聴してみてください。(こちら)。

また、以下の2つのサイトでも2種のワクチンの副反応の違いについて詳しく書かれていますので、参考にしてください。